データセンター用地
2026年07月05日
茨木県のデータセンターの可能性 MAPESTATE株式会社
「茨木県」は文脈上、茨城県として整理します。茨城空港周辺を含む、つくば〜県央・県南エリアとして見ます。最新の工業団地・電力・通信・災害面を確認して評価します。
茨城県、とくに「つくば研究学園都市〜圏央道沿線〜茨城空港周辺」は、DC用地候補としてかなり有望だと思います。
ただし、全域が同じように有望というより、「つくば西・常総・阿見・石岡小美玉・茨城空港周辺・笠間方面」を、電力と通信条件で選別する必要があるという見方です。
1. 茨城県がDC用地として有望な理由
茨城県の強みは、まず工業団地・産業用地の供給が多いことです。県の工業団地サイトでも、宮の郷、常陸那珂、茨城中央、茨城空港テクノパーク、筑波北部工業団地、フロンティアパーク坂東、阿見東部工業団地など、多数の産業用地が整理されています。これはDC事業者にとって、農地転用や地権者調整が複雑な土地よりも検討しやすい条件です。
次に、首都圏に近く、都心から離れすぎていないことです。AI学習用の超大型DCは多少遠隔地でも成立しますが、クラウド、企業専用DC、金融・研究系の低遅延接続を考えると、東京圏からの距離は重要です。つくば・常総・阿見・土浦・石岡小美玉は、都心と地方の中間的な立地として評価できます。
さらに、圏央道・常磐道・北関東道・東関東道の結節性があります。茨城空港の公式アクセス図でも、つくば中央ICから茨城空港まで約40分、三郷ICから約60分程度の道路接続が示されています。DCは人流施設ではありませんが、建設時の資材搬入、非常時対応、保守要員のアクセスでは道路条件が効きます。
2. つくば周辺は特に注目度が高い
かなり重要なのは、つくば市の圏央道つくば西スマートIC周辺地区です。
つくば市の案内では、この地区について、郊外型データセンター等の開発ニーズを踏まえ、東京電力パワーグリッドが新たな超高圧変電所建設に必要な対象エリアとして発信し、つくば市も区域内に変電所建設スペースを提供する意向を示しています。これはDC用地として非常に大きな材料です。
同地区は、圏央道つくば西スマートICから直線約1.65km、常総ICから直線約2.65km、TX万博記念公園駅から直線約3.3kmとされ、オーダーメイド区画も可能とされています。
これは、単なる「工業団地候補」ではなく、電力インフラの新設可能性があるDC候補地として見るべきです。DC用地では、土地が広いだけでは足りず、結局は「何MW引けるか」「何年で引けるか」が決定的です。
3. 筑波北部工業団地は研究開発型には良いが、超大型DCには面積確認が必要
筑波北部工業団地は、研究開発型工業団地としての性格が強く、用途地域は工業専用地域、標高約29m、地耐力のサンプル調査結果も示されています。分譲中面積は3.8ha、想定分譲価格は29,400円/㎡、坪約97,020円です。
この価格・面積感から見ると、数十MW〜百MW級の超大型AIデータセンターというより、研究機関・企業R&D・AI推論・企業専用クラウド・高セキュリティ型DCに近い用途の方が合う可能性があります。
超大型DCであれば、10ha、20ha、50ha規模が欲しくなるため、既存工業団地の残区画だけでなく、周辺開発地や新設産業用地を含めて見る必要があります。
4. 茨城空港周辺は「広域分散型DC」に向く可能性がある
茨城空港周辺、小美玉、石岡、鉾田、笠間、茨城町方面は、つくば中心部より土地のまとまりが取りやすく、地価も抑えやすい可能性があります。県の工業団地一覧にも茨城空港テクノパークが掲載されています。
このエリアは、次の用途に向くと思います。
AI学習用の大型DC
低遅延よりも、電力・土地・冷却・建設コストを重視する用途。
企業専用・バックアップDC
都心から一定距離を置きながら、首都圏内で管理できる用途。
蓄電池併設型DC
変電所・送電線・太陽光・蓄電池を組み合わせる用途。
災害分散型DC
東京湾岸や都心DCのバックアップ拠点。
ただし、茨城空港周辺は、航空制限、騒音、周辺インフラ、通信幹線、電力引込可能量を個別に確認する必要があります。空港に近いこと自体はDCに必須ではなく、むしろ重要なのは「広い産業用地」「電力」「通信」「災害安全性」です。
5. 茨城県内でも、エリアごとに向き不向きがある
私なら、茨城県内を次のように分けて見ます。
エリア
DC適性
向く用途
つくば西・常総IC周辺
非常に高い
大型DC、AI、クラウド、企業専用DC
つくば研究学園・筑波北部
高い
R&D型、企業専用、高セキュリティ、AI推論
阿見・土浦・牛久方面
高い
首都圏近接型、研究・企業DC、物流併設型
石岡・小美玉・茨城空港周辺
中〜高
大型用地、バックアップ、蓄電併設型
笠間・茨城中央方面
中〜高
電力条件次第で大型DC・BESS併設
北茨城・日立港方面
特殊に高い
海底ケーブル・大規模電力型DC
北茨城市は少し離れますが、経産省のデータセンター地方拠点整備事業のFS調査で、2つの送電網から6年で50MW、8年で追加160MWを引ける可能性、海底ケーブル陸揚局が市内にある点などが強みとして整理されています。これは茨城県全体がDC誘致を意識している証拠でもあります。
6. ただし最大の確認事項は「電力」です
DC用地は、最後は電力です。
つくば周辺で超高圧変電所の話が出ているのは大きなプラスですが、候補地ごとに以下を確認する必要があります。
何MW受電できるか
5MW、20MW、50MW、100MWでは買主層が変わります。
特高受電まで何年かかるか
DC事業者は、6年後・8年後では遅いと判断する場合もあります。
変電所までの距離
距離が長いと送電線・地中線コストが大きくなります。
系統接続の空き容量
近くに送電線や変電所があっても、空きがなければ使えません。
蓄電池・自家発・再エネ併設余地
AI DCでは将来、BESS併設の価値が上がります。
ひたちなか地区でも、工業団地拡張によって電力需要が増え、新たな変電所・鉄塔敷地の確保が必要とされています。これは、茨城県の産業用地開発が進むほど、電力インフラ整備がボトルネックになり得ることを示しています。
7. 用地営業上の結論
遠藤様の見立ては、かなり良いと思います。
特に、つくば研究学園都市〜つくば西スマートIC〜常総IC〜土浦・阿見〜石岡小美玉・茨城空港周辺は、今後のDC用地提案で有望な帯状エリアです。
首都圏近接型DC用地
東京から近く、都心一極集中を避けられる。
つくば研究機関・AI/R&D連携型DC
研究都市との親和性を打ち出せる。
圏央道・常磐道アクセス型DC
建設・保守・災害時対応に強い。
特高・超高圧変電所候補地周辺DC
電力インフラ整備と連動できる。
BESS併設型DC用地
蓄電池用地探索と一体で提案できる。
まとめ
茨城県、とくにつくば〜茨城空港周辺は、DC用地候補として十分有望です。
特に、つくば西・常総IC周辺は、超高圧変電所計画の動きもあり、かなり注目すべきエリアです。
一方で、DC用地として正式に提案するには、各候補地ごとに、
特高受電可能性
変電所・送電線距離
光ファイバー幹線
浸水・液状化・活断層リスク
用途地域・開発許可
10ha以上のまとまり
冷却用水・排水条件
を調べる必要があります。